2014年2月、浄法寺漆が東京 神楽坂にやってきた。
漆はぁそごらさぁ いっぺぇあるすけぇ。
なぁんにもねぇんども。
まんずまんず、きたらよかんべ。
こんなフレーズに、
岩手から一陣の清々しい風が吹いてきた思いがする。
浄法寺は岩手県二戸市、青森との県境にある漆の里である。
希少な国産漆の生産地であり、
それを用いて浄法寺塗という漆器を生産している。
木と向き合い、漆と向き合い、技術を磨き、ホンモノを作る。
そんな姿勢と品質の高さにほれ込み、
当店でも取り扱わせていただいている。
※現地(浄法寺)訪問時のブログはこちら↓
▼岩手&青森の旅(後編)
▼東北の旅(上)
今回は神楽坂の3件のお店を会場に、
浄法寺塗製品の展示・販売に加えて、
漆の器でいただく浄法寺の郷土料理食堂、
金継ぎのワークショップが開催されているとのこと。
いそいそと出かける。
神楽坂は東京の中でも異彩を放つ街だ。
戦前戦後の花柳界華やかなりし頃の面影を所々に残し、
石畳の路地に粋でおしゃれな店が並ぶ。
一本筋を入ると道は狭く名の示す通り坂が多いが、
21世紀の東京のかまびすしさの中にあって、
ひとときのタイムスリップ感すら覚える。
最初に訪れたのはギャラリー「フラスコ」。
表には漆を掻いた後も生々しい漆の木が出迎えてくれる。
開店からまだ間もないが、店内はかなり賑わっている。
なじみの浄法寺塗の数々が展示され、大変な人気!
実際に目にして手に取ってみると、
誰しもがいつも使っているものとの圧倒的な違いに気づかされる。
滴生舎からも職人さんがやってきており、
丁寧な説明にみんな納得の表情。
ここでは期間中「浄法寺食堂」がオープンし、
おいしい郷土料理を浄法寺塗の器とお箸でいただくことができる。
腹ペコの当店スタッフがいただいたのは...
・浄法寺のお母ちゃんの具沢山けんちん汁
(本当に具沢山!根菜類に山菜がいっぱい)
・へっちょこ団子
(きび粉のお団子入りのぜんざい)
・きゅば餅
(きび粉のおやきを柏の葉で包む。お母さんの焼き立て!)
都会の冬のさなか、
浄法寺の素朴ながら心づくしのおいしい手料理に、
身も心も暖まる。
つづいては「jokogumo(よこぐも)」へ。
くらしの雑貨を販売するセンスのいいお店に、
浄法寺塗の器やお箸が並べてある。
こちらも入れ替わり立ち代わりにお客さんが来店。
漆絵で描いたこども椀の愛らしい絵に「かわいい~」の声があがる。
自分の子供には本物を与えたいと願う親御さんは少なくないはず。
天然の材料で実直に作られた浄法寺塗のこども椀やお箸はまさしくそれにあたる。
漆器は丈夫な上に修理もできる。欠けも直せるし、塗り直しもできる。
お子さんが成長されたら、塗り直して小鉢にしてもよい。
人の成長とともに器も成長する。
(当店販売の品のお直しは当店で承りますのでご用命くださいませ)
「うえぐも」では田代淳さんが出張繕い屋として、
金継ぎのワークショップを開催されていた。
たくさんの生徒さんが真剣に取り組んでおられたのが印象に残る。
浄法寺は岩手の北のほんとうに小さな町で、
浄法寺塗はすべて手作りゆえ大量に生産できないが、
ホンモノは伝わるのだということを、
今回のイベントの活況ぶりからあらためて感じた次第。
当店もホンモノを求める思いに応えられる店であるよう、心を新たにする。