輪島の朝は早い。
朝ごはんもそこそこに、毎朝開かれる朝市へ向かう。
石畳調に舗装された朝市通りは、
すでに大勢の観光客で賑わっている。
海産物や漆器などを売る露店が軒を並べ、
おばちゃん達の呼び込みの声が響く。
リヤカーでの販売風景に、古き佳き日本を感じる…。
石川県輪島漆芸美術館へ。
公式キャラクターの「わんじま」君に出迎えられる。
もちろんポストではない。念のため。
輪島といえば、輪島塗。
木地に布を張り(布着せ)、地の粉(じのこ)という、
漆と輪島特産の珪藻土を混ぜたものを何層にも
塗り込む「本堅地(ほんかたじ)」の下地技法。
その上から漆を塗っては研ぎを
何度も繰り返して作られる輪島塗は頑強で華麗。
まさに漆器の王様である。
製作工程や数々の漆作品、
漆器に関する文献・映像などなど、膨大な展示物に圧倒される。
輪島の繁華街から少しはずれたところにある「桐本木工所」を訪ねる。
代々、朴木地屋(ほおきじや)として漆器の木地づくりや木製家具を手掛け、
今では「輪島キリモト」ブランドとして木地から塗りまで一貫した漆器製作も行う、
輪島きっての気鋭である。
超多忙な桐本代表と奥様にご案内いただく。
昔から受け継がれてきた道具の数々を、
21世紀の職人が今も大切に使っている。
丁寧でムダのない動きで、
ひとつひとつの製品を作っていく。
大きな工作機械はあるが、
それに頼りすぎず、手で削り、仕上げる。
その手でしか生み出せないぬくもりが、
製品のたまらない魅力となっていく。
大正元年に作られた道具箱は、まだまだ現役。
丁寧で穏やかだが、
エネルギッシュで熱い代表の語り口には、
輪島の朴木地屋としてのプライドが随所に滲む。
元々好きな商品だが、
こういう熱い人が作っているとなると、増々ほれ込んでしまう…。
すっかり幸せな気持ちで、もう少し輪島を散策。
きりっと引き締まった印象の輪島塗会館。
落ち着いたたたずまいの重蔵神社。
廃止されたのと鉄道の旧輪島駅舎を活用した道の駅、
ふらっと訪夢。
そして、落ち着いた静かな町にも、
北陸名物「8番らーめん」はある(笑)
またゆっくり来たい、幸せな気分で輪島を後にする。