翌朝、弘前を発って向かった先は「浄法寺」。


岩手県二戸市浄法寺町。日本一の漆産地だ。
国内で使用される漆のうち、国内産はわずか5%たらず。そのうち7割がこの地で産み出されている。

久しぶりの訪問を桜の絨毯が出迎えてくれた^^


目的地は、浄法寺漆芸の殿堂「滴生舎(てきせいしゃ)」。
地元・浄法寺産の漆を使った角椀と塗箸は、当店不動のロングセラーとなっている。


漆の産地だけに、
漆掻きをした後のウルシの木や、


漆掻きの道具、


さらにはこんなものも!(笑)


桜の木の下には、「漆聖」と呼ばれた人間国宝 松田権六氏の功績を称える石碑が佇む。


ああ、漆の故郷に帰ってきた。

この地で生まれた「浄法寺塗」は、漆を塗っては研ぐという工程を何度も繰り返して仕上げていくが、
最後に光沢を出すための研磨を行わない。
はじめはマットな質感だった器が、日々使い込むなかで美しく艶めいてくる。

塗師(ぬし)の仕事は7割、残りの3割は「使い手が育てる器」といわれる所以だ。


写真左の角椀は5年間使ったもの。
丁寧に使い続けると、ここまで育ってくる。


浄法寺塗は、飾り気のないシンプルなものが多い。
年齢も性別も問わず使いやすく、飽きがこない。毎日使うための器なのだ。

良いものとの出逢いもあり、来てよかったなあとあらためて思う。


忠之助ノートの初旅で訪問してから何年経ったか…。
いつお邪魔しても、自然体なトークで接してくださる皆さんに感謝。

今回も居心地の良さについつい長居してしまった…(反省)。


本日のランチは昭和レトロな風情の地元食堂。


お母さん一人で切り盛りする店内に多少の不安を覚えつつ…
も、出てきたワンタンメンは絶品。


また食べたいと思う味とボリュームに大満足。


お腹いっぱいになったところで向かった先は、浄法寺塗の職人 山崎菜見子さんの工房(漆工房やまなみ)。


山崎さんは滴生舎で十年以上に渡って勤務した後、独立。
今では、浄法寺塗の塗師として漆器を作りながら、自ら漆掻きもするスーパーウーマン!

6月から11月半ば頃までは連日山に入って漆を掻き、
山に入らない時期には、自ら採った漆を使って漆器作りを行っている。


手にフィットする柔らかい形と、丁寧で力強さを感じる塗りは山崎さんならでは。


新作のカップや酒器を見せてもらい、心躍る時間^^


来年に向けて、乞うご期待ください!!


二戸から八戸へ、青森に出戻る。


途中立ち寄ったサービスエリアで、「さるなしドリンク」をゲット。


あまりのおいしさに、猿がすぐに食べてなくなってしまうといわれる「さるなし」でエナジーチャージ!


彫金(ちょうきん) × 津軽塗!?
一見相容れない組み合わせのアクセサリーを作る職人がいることを知り、八戸の工房に訪問させていただく。


漆職人の工房とは思えない工具がたくさん。


金属加工と漆塗りの作業場は分かれていて、ここは金属を加工する作業場。


指のサイズや好みを聞いて一つ一つ作られるオーダーメイドのアクセサリーは、どれも個性的。
そして、何よりもカッコいい。


唐塗りや螺鈿といった伝統的な漆塗りの技法がイキイキとしているように見える。


“伝統を継ぐ”方法は人それぞれなのだとあらためて感じた。
伝統的な技法をしっかりと継いでいく職人も必要であり、今の時代に合わせて進化させていく職人も必要なのだ。
その両方を持っている産地は強い。


三沢空港に到着。


民間の飛行機に加えて、航空自衛隊・アメリカ空軍の飛行機が飛び交う日本で唯一の飛行場。


自衛隊機が着陸したかと思えば、JAL機が登場する迫力の景色が目の前に広がる。

この旅最後の食事は、ホタテカレー!!
名残惜しい気持ちを引きずりながら、青森の名物をいただく。


あっという間に、フライトの時間。
ボーイング737-800型機が目の前に。


さーて、そろそろ、
あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな。